【最終更新日】
2010/01/25
MIDI <BWV.863> と雑文

【お知らせ】
2009/10/05
『(旧)バッハ工房』を閉鎖しました。
2008/11/25
サーバーを移転し、『(旧)バッハ工房』を『新バッハ工房』と改めました。

   ■最新の記事
2010/01/25 『厳格で調の美しさを活かしきった前奏曲と曲集中一番自由な形式のフーガ』

<平均律クラヴィーア曲集 第1巻>第18曲です。

J.S.バッハ/平均律クラヴィーア曲集 前奏曲とフーガ 第1巻
J.S.BACH/Well-Tempered Clavier Prelude & Fugue 1

第18番 嬰ト短調 BWV.863
No.18 - G# Minor BWV.863
m558.mid  ピアノ  19.1KB  3′28″

前奏曲(最初〜1′35″)は3声。某専門書によりますと“厳格な展開の3声”と形容詞が付けられていますが、分かる気がします。曲想は 第4番 嬰ハ短調 BWV.849 と似ていますが、好みの問題かも知れませんが BWV.863 の方が調の美しさを活かしているように感じられます。

フーガ(1′38″〜最後)は4声。別の書籍によりますと、曲集中のフーガの中で“一番自由な構成”であるとされています。確かに表情豊かで、主題モチーフによるホモフォニックの間奏もあり、フーガであることを忘れてしまう瞬間があります。
前奏曲が厳格な模倣手法を用いているので、フーガはその対象を意図したと考えられます。
しかし、自由な中にも真摯であり、厳格であり、自然な展開を基本とするバッハらしさは失われることはありません。

話は全く変わりまして、バッハの曲で好きな曲を10か20程選ぶとしたら?との問いに、どういう選曲をするのかということにとても興味があります。
先日古本屋を見ていましたら2007年8月号の『音楽の友』にバッハ特集がありまして、買って(といっても105円でしたが)眺めてみますと『バッハ名曲20』という記事がありました。特集は前・後編に分かれていまして、この号ではバッハの前半生に作曲された名曲20ということなっています。
曲名だけ写してみます。(選曲・解説:大角欣矢氏))

01. カンタータ第106番<神の時は最上の時なり> BWV106
02. カンタータ第71番<神はわが主なり> BWV71
03. カンタータ第161番<来たれ、汝甘き死の時よ> BWV161
04. カンタータ第208番<楽しき狩りこそ、わが喜び> BWV208
05. トッカータ 二短調 BWV565
06. パッサカリアとフーガ 二短調 BWV582
07. トッカータとフーガ ヘ長調 BWV540
08. 幻想曲とフーガ ト短調 BWV542
09. オルガン小曲集より<人よ、汝の大いなる罪を悲しめ> BWV622
10. トッカータ 二短調 BWV913
11. イギリス組曲 第3番 ト短調 BWV808
12. 半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV903
13. 平均律クラヴィーア曲集 前奏曲とフーガ 第1巻 第8番 変ホ短調 BWV.853
14. 無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 ニ短調 BWV1004
15. 無伴奏チェロ組曲 第6番 ニ長調 BWV1012
    1 2 3 4 5 6
16. トリオ・ソナタ ト長調 BWV1039
17. ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ 第3番 ホ長調 BWV1016
18. ヴァイオリン協奏曲 第2番 ホ長調 BWV1042
19. ブランデンブルク協奏曲 第1番 ヘ長調 BWV1046
20. ブランデンブルク協奏曲 第5番 ニ長調 BWV1050

選者の好みというよりも、“バッハらしさ”についてバランスを配慮したツウらしい選曲と思います。どれも一聴の価値有りです。
後編収録のバックナンバーを探してみることにしました。


   ■最近の過去ログ
2010/01/12 『リトルネッロ形式の前奏曲とフーガというよりプレリュード的、クラヴィーア曲というよりオルガン曲的なフーガ』

<平均律クラヴィーア曲集 第1巻>第17曲です。

J.S.バッハ/平均律クラヴィーア曲集 前奏曲とフーガ 第1巻
J.S.BACH/Well-Tempered Clavier Prelude & Fugue 1

第17番 変イ長調 BWV.862
No.17 - A Flat Major BWV.862
m557.mid  ピアノ  20.1KB  3′00″

前奏曲(最初〜1′23″)は3声。平易で親しみやすい曲想です。リトルネッロ形式で、バロック型協奏曲の一楽章、三楽章でよく用いられた形式であるというのも、親しみやすい理由のひとつかと思います。
フォルケルの写本が現代に遺(のこ)っていまして、9〜12小節及び22〜26小節について<平均律>編纂の時に手直しをしていることが分かっています。

フーガ(1′26″〜最後)は4声。主題の入りが少ないせいかポリフォニー的な緊張感が低く、フーガというよりもプレリュード的です。さらには、分散和音型の主題が前奏曲と密接な関係をもっている点では、クラヴィーア曲というよりもオルガン曲的なスタイルであるともいえます。
主題と対照的な16分音符のモティーフが全体を駆け巡っていて、曲の展開にバリエーションを持たせているのも特徴的です。

このフーガ、私的に気になる1小節があります。
下の1小節でMIDIでいうと2分9秒の部分ですが、バッハらしくないともバロックらしくないともいえると思いますが、なんかカッコいいというかクールなんですよね。




話は全く変わりまして、『扉をたたく人』という映画を観ました。詳細はオフィシャルHPを見て頂くとして、『上質な大人の映画』で機会があれば是非ご覧頂きたい一本です。
その中で、妻に先立たれて孤独に過ごすニューヨークの大学の先生が、シリアの青年からジャンベ(ボンゴのような太鼓)を習うシーンがあります。青年の台詞はこうなっていました。
「先生は賢いけど、頭で考えちゃダメだ。うまくいかない」
その通り、音楽ですからね。というのも、前回のこの記事の中段で「・・・頭の使いどころ・・・」というように記していまして、教養も無いくせに教養主義に毒されているようで二重に恥じ入った次第です。

青年は不法滞在の罪で拘束され、好きな場所で好きな音楽ができないことを嘆きます。
これでふと、『バッハの音楽はキリスト教音楽とされていて、キリスト教を禁じられている国では演奏も鑑賞も許されていない』ことを思い出しました。
殆どどんな音楽でも許される日本は、なんと幸せな国でありましょうか。
それが当たり前になってしまうと、こういう映画を観ないと私のような凡夫には気づくことができないでありました。

2010/01/04 『ヴァイオリン協奏曲の緩徐楽章的前奏曲と技巧的に非常に密度の高いフーガ』

<平均律クラヴィーア曲集 第1巻>第16曲です。

J.S.バッハ/平均律クラヴィーア曲集 前奏曲とフーガ 第1巻
J.S.BACH/Well-Tempered Clavier Prelude & Fugue 1

第16番 ト短調 BWV.861
No.16 - G Minor BWV.861
m556.mid  ピアノ  19.4KB  3′55″

前奏曲(最初〜2′02″)は3声。アリオソート風のプレリュードで、『ヴァイオリン協奏曲の緩徐楽章を思わせる』という説というか意見もありまして、そういわれてみるとそんな気もしてきます。
気がするだけではなく、『長い持続音から落ち着いた足取りで主音に下降する』という点がそれを裏付けている、のだそうです。

フーガ(2′05″〜最後)は4声。技巧的に非常に密度が高く、フーガ分析の対象としては面白い曲です。残念ながら、これを詳しく解説するのは専門書を丸写しすることに等しくなりますのでご容赦下さい。
技巧的重視、どちらかというと演奏する喜びは二の次という点では、この前の曲<BWV.860>のフーガと対象をなしているといえます。

で、この曲、前奏曲共々あんまり魅力的でない、はっきりいって面白くはないですね。
特徴がなく緩慢な印象で、『<平均律>の中で一番好きな曲は?』と問われて、この曲をあげる方は僅少なのではないかと思います。
逆にこういう曲は、演奏家としては腕の見せ所、頭の使い所といえます。そういう点ではグールドの演奏は、高い緊張感と期待を持って耳を傾けることができます。


話は全く変わりまして、最近見つけたバッハ・グッズを。

 (クリック:新フレ拡大)

クリスマスカードで、無地の封筒付き400円也はちょっとお高めでしょうかね。
年末に表参道のYAMAHA店で見つけましたが、クリスマス直後のためでしょうか最後の一枚でした。私にはこの『最後の一枚』が、よく巡ってくるような気がします。
しかし、デザインが凄いですね。なにせ、バッハの頭にツリーが刺さってますから・・・
この状況下で「Merry Chyismas & Happy New Year」と言ってしまえるバッハは、我々が考えていた以上に偉大な人物なのではないだろうか、と思えてきます。

文末になりましたことの失礼をお許し頂き、本年も宜しくお願いします。

2009/12/28 『バッハのト長調に多く見られる快適な曲想の前奏曲と技法なんかよりも演奏の喜びに満ち溢れたフーガ』

<平均律クラヴィーア曲集 第1巻>第15曲です。

J.S.バッハ/平均律クラヴィーア曲集 前奏曲とフーガ 第1巻
J.S.BACH/Well-Tempered Clavier Prelude & Fugue 1

第15番 ト長調 BWV.860
No.15 - G Major BWV.860
m555.mid  ピアノ  29.4KB  3′44″

ト長調のバッハの曲は、気楽で陽気な表現、演奏の喜びに適した曲調のものが多く、BWV860についても同様といえます。
前奏曲(最初〜1′01″)は2声。24/16拍子で、快活な表現が顕著です。
バッハの弟子であるフォルケルの写本が遺されいまして、これを見るとバッハは<平均律>を編纂するときに、この曲に補筆したことが分かっています。

フーガ(1′04″〜最後)は3声。8/6拍子で、前奏曲と同様に快活で、且つ舞曲を思わせる曲調です。
フーガの技巧として主題の反行形、ストレット(複数の主題が折り重なって呈示される)が多様されていますが、それよりも音の運動の喜びに溢れた曲という印象が強いといえるでしょう。

話は変わりまして私事となりますか、PCを買いまして、また更新可能となりました。
年末にお客さんと忘年会をしておりましたら、先方の社長さんがバッハがお好きで、しばらくバッハの話をしていました。随分と詳しい方で、私も素人としては詳しい方だと思いますので、こういう偶然の出会いというのはあまりないことですから、お互いに驚いておりました。
そうしている内に中断しているこのサイトのことが気にかかりまして、翌日中古品を買いに行ったという次第です。

以前中断していた時にはオルガニストの井上圭子氏に自宅付近で偶然にお会いしまして、バッハに縁のある方でもありますから、それを機会に再開したということがありました。

巡り合わせといっては大袈裟でしょうが、中断する度に新たなモチベーションを貰って背中を押されているような、そんな気もしないでもない? のでありました。

文末になりましたが、良いお年をお迎え下さいますように。

2009/11/28 『PC壊れました』

訪問各位様

PCが壊れまして、どうも再起不能のようで、従いまして当面更新ができなくなりましたのでご連絡申し上げます。
年末年始の安売りにて新規購入したいと思量していますが、財政状況によりますので再開は未定です。

2009/11/16 『日のかげった秋の広野のような前奏曲とすすり泣きの動機を用いたフーガ』

<平均律クラヴィーア曲集 第1巻>第14曲です。

J.S.バッハ/平均律クラヴィーア曲集 前奏曲とフーガ 第1巻
J.S.BACH/Well-Tempered Clavier Prelude & Fugue 1

第14番 嬰ヘ短調 BWV.859
No.14 - F# Minor BWV.859
m554.mid  ピアノ  24.0KB  3′57″

前奏曲(最初〜1′27″)は2声のインベンション風のスタイルですが、侘しさを感じさせる曲想で、フーガもこの曲想を引き継いでいるので全体として溜息をも感じさせるような雰囲気に包まれています。
リーマンはこの曲を、「日のかげった秋の広野」に例えています。

フーガ(1′30″〜最後)は4声。主題が長いために主題の入りが少なく、ストレット(主題が呈示され、その主題が終了しないうちに他の声部にも主題が呈示される)もありません。
対位句には<オルガン・コラール>にも用いられた、「すすり泣きの動機」が姿を見せます。

前奏曲のテンポには、とても悩みました。
もっと早いテンポがコンセンサスでしょうし、大御所の演奏にも曲芸のような高速テンポのもが少なくありません。
このあたりは YouTube で、『BWV 859』で検索しますと沢山出てきますので、ご興味のある方は是非どうぞ。
私にはどうしもバッハの意図がこういう演奏であるように思えませんで、大変不遜なことのようで恐縮ですが自分の感性のままとしておきました。

前文で前奏曲を『インベンション風』と記しましたが、インベンションとは元々『創意工夫』の意味で、バッハ自身もこれを『原義を離れて、探究・発見されるべき曲想』という意味で使用しているとされています。
インベンション的な練習曲は、音楽や演奏の先生に「こう演奏しなさい」と教えてもらった通りに演奏するよりも、自身の感性で創意工夫、試行錯誤をし、あれこれと捻くり回すのが作者の意図であるということもできます。
が、何か言い訳の上塗りをしているような気がしてきましたので、このへんで。


これ以前の過去ログは、保存しておりません。



新バッハ工房



since 2008/11/25


レンタル


























































無料アクセス解析




















































































































































inserted by FC2 system